『待たせて悪かったね。』

 会うなり私にそう言った彼。

 彼の名前は「けんぞう」。高校3年生で、音楽が好きとか、そういう面で性格のあった人。声がLUNA SEAのJ君に似ていると思った。

「ううん、大丈夫。」

 私は着ていたコートで右手の傷を隠した。そしてバスターミナル近くのベンチに座ってお話をする。まさとは違う。優しい・・でも、好きになってく自分が分かっても・・彼女になれないって思ってた。いくら、年上がいいなという彼に私みたいな年相応に見えない子は及びでない気がしてたから。

『寒くない?』
「大丈夫・・」

 そんな優しさがいたかった。きっと、こういう優しさは、色んな人にしてて・・・その中の一人のような気がして・・特別になれるわけがないって思った。でも、だんだん陽が落ちていき、寒くなって・・

『寒くない?ホント?』
「うん・・少し・・。」
『じゃ、コレ使って。ホラ。』
「えっ・・」

 彼は私の首にバーバリーのカシミアマフラーを巻いてくれた。

「でも、けん君は大丈夫??」
『俺は、大丈夫だよ。体温高いから。』
「ホント?」
『うん、ほら暖かいでしょ?』

と、言って私の手に触れた彼。ドキドキしてた。ホントに手が暖かくて・・・

『どうしたの?ココ。』
「そ・・それは逃げる時に引っ掻かれて・・」
『大丈夫?』

 泣きそうだった。彼に心配かけてる自分が、自分に嫉妬してた。そして、寒さのあまり駅前のデパートに入ることにする。すると後方から自転車が来た。よけようとしたら・・・フワッ・・・彼の手が私の腰に触れて、守ってくれた。

――――この人が好き――――

 そう思った。そして2階に行く。私は・・・気持ちが高ぶっていた。このまま告白してフラレたら、ホントに生きてる意味があくなりそうだった。

 マフラーを返して、2階から1階が見える場所にいく。
 そこは1階からの拭きぬけになってるスペースで、下が見渡せる。私は、小学生の時のことを思い出していた。すると・・・

「え・・ちょっと!!」
『こうしてと落ち着く。』

 彼から急に後ろから抱き締められた。もぉパニック状態でした。彼の唇が、私のうなじら辺に触れていて・・もぉ・・メロメロな私。

「これじゃ、持ち上げられちゃうみたいだねぇ。わぁっ!!!」

 彼が私を持ち上げた。もぉ・・ビックリの嵐。そして正面から抱き締められた。

「ダ・・ダメだよ。人が見てるよ・・」

 本心とは裏腹に、彼の腕から逃れようとしてる私。でも・・・彼の唇が私の傷口に触れた。ドキドキ・・。

『一応、消毒な。』
「う・・うん。」

 そして、少ししてキスをされた。私の頭の中ではパニック状態で・・抱き締められてる体制で・・

「好きだよぉ・・」

と、告白してしまった。彼は、何も言わなかった。

 その次の日、彼に電話をして真意を確かめた。

「昨日のキス・・ふざけてしたの? 私、どう受け止めていいか分からないよ。」
『好きな人に・・ふざけてなんて出来るわけないよ。』
「でも・・・好きって言ってくれなかったじゃない。」
『ごめん、今、近くに親がいるから言えないけど・・付き合おう俺達。』
「・・・うん。」

 それから付き合うことになったんだ。って言っても、その昨日の時点でお互いに好きだってことが分かったんだから・・告白をしなきゃ付き合えないってわけじゃないんだから。

 そして・・・今でも続いてる仲なのです。この他のエピソードは、また今度にでも^^;

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