3、伝えられない。

 授業が始まった。数学の先生は、また豊田先生だった。この先生の授業は雑談が多い。だけど、私は数学が嫌いじゃなかった。他の皆が嫌いなものを好きな気がして、疎外感も少しあった。

とんとん。

 後ろの子が私の背中を叩く。

「佐藤さんにまわして」と、書かれた手紙のようなものが回って来た。

 私は、こういうのが苦手。授業中なのにって思う。


「うわぁん。。やだよぉ。。。」

次の授業は体育だ。運動音痴な私にとって、一番、嫌な時間。

「未来、体育嫌いなの?」

若葉ちゃんが問う。

「ん。。嫌い。」
「未来はね、小学生の時から嫌いだったよねー。」

と、明日香ちゃんは付け足す。

すると。

 前方から、1、2組の男のコが来る。そっか・・・前の体育の授業は、1、2組なんだと思っていた。

―高野くん!!

 高野くんが、歩いて、こっちに来た。バレーボール部で有名な・・・清水くんと一緒にいる。どうしたらいいんだろう・・・。

「望〜〜!!!!」

―よ・・洋子さん。

 私の胸の中で、ガラスが割れるような痛みがはしった。

 私には、知らない人と話してる高野くんには声が掛けられない。1年の時だって、半分以上は、高野くんが声を掛けてくれたし・・・洋子さんのようになりたい。。

「未来? 行くよ。」

 若葉ちゃんが私の手を引っ張る。

 体育の授業は辛かった。いきなり1000m走らされたりした。全然、体力無いもん。。ずっと、息切れしっぱなし。

 でも、若葉ちゃんは、陸上部なだけあって、走り方がキレイだった。でも長距離ランナーじゃないらしいんだけど。。

 私には、何があるんだろう。
 私には、何を磨けばいいんだろう。
 こんなんじゃ、きっと・・・
 ずっと・・・

 初恋は、実らない。

コメント