4、喧嘩。

 朝。 最近、目覚めが悪い。2年生になったのに、何も進歩しない。相変わらず、遅刻ぎりぎり人間。

 駆け抜けてく通学路の前方に長い髪の女の子が見えた。間違い無く、明日香ちゃんだった。

「明日香ちゃーん!!」

 クルッと振りかえったのは、紛れも無く、明日香ちゃんだった。

「おはよう、明日香ちゃん。」
「おはよ。」
「あれ? さっちゃんは?」

 明日香ちゃんと、さっちゃんの家は近所だった。だから、毎日、一緒に登下校してるのに。

「幸子なら、先に行ったよ。」
「そっか。。」

 その時、私は感づいた。 二人は、喧嘩したって。明日香ちゃんは、通常、もっと明るくハキハキと話してくれる。でも、今日の明日香ちゃんは、なんだか苦しそうだった。

 教室に入ると、さっちゃんと、明日香ちゃんの間に重たい空気が流れていた。

 若葉ちゃんは、さっちゃんについて、私は、明日香ちゃんについて話を聞こうとしたけどダメだった。

 その次の日、明日香ちゃんは学校を休んだ。先生は「橋本さんは風邪で欠席です。」って言ってたけど、私と若葉ちゃんは違うって悟った。

 その放課後、私と若葉ちゃんとさっちゃんは3人で学校の屋上に行った。

「明日香と何があったの?」

沈黙を破ったのは、若葉ちゃんだった。

「別に何も・・・ただ、喧嘩しただけだよ。」
「喧嘩の原因は何? その原因が分からなきゃ、私や未来だって、どうしていいのか分からないよ。」
「若葉に未来は好きな人いる?」

 さっちゃんの口から思いもかけない言葉が出た。私は、高野くんが好きな事、誰にも言っていなかった。

「若葉は?」
「いるよ・・・そりゃ。」
「未来は?」
「いる。。」
「私と明日香もいるんだ。それを一昨日、お互いに協力しようってことで、誰を好きかって、打ち明け合ったの。」
「それで?」
「私と明日香、同じ人が好きだったの。」

「!!」

 私と、若葉ちゃんは絶句した。

「それで、喧嘩しただけだよ。分かった? もう、いいでしょ。また明日ね。」

 あっさり言って、その場を去っていった、さっちゃん。

 私は、どうしたらいいの?
 どっちを応援したらいいの?

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