8、憧れの存在・明日香

「今度の開校記念日の時、4人で、どっか遊びに行かない?」

 さっちゃんが切り出した。もうすぐ、5月1日。私達の学校は開校記念日だ。でも、次の2日は、体力テストの日なんだけど。

「いいねぇ!遊ぼう♪」

 若葉ちゃんも、はしゃいでいた。

「そうだね。若葉も仲良しになったことだし、ぱぁっと遊びたいね。」

 明日香ちゃんも続く。

「未来は? 未来は、どう思う?」

 心配そうに私を見て言う、さっちゃん。

「うん、いいと思う。」
「でも、どこにしよっかぁ?」
「うう〜〜ん。。」

「俺達、豊島園行くんだけど、お前らも行かない?」

と、割り込んできた一人の男のコ。

「藤木、邪魔だよ!! あっち行ってよー!」

フジキ?

「橋本、お前の方がうるせーよ。」

 明日香ちゃんは、色んな人と話せて羨ましい。どうしたら、私は、明日香ちゃんみたくなれるんだろう。

 結局、その藤木くんが言ったからってわけじゃないけど、豊島園に行く事になった。

―当日。

「わぁぁん、雨だぁ。」

 せっかくの休みなのに、外は雨。

「未来、明日香ちゃんから電話よ。」
と、お母さんが言う。

「もしもし。」
「未来ー? ごめぇん。今日ね行けなくなっちゃったの。若葉や幸子にヨロシク言ってもらえるかな?」
「ん。いいけど。どうしたの?」
「雨降ってるしさー、そのせいで親が行くなって言ってね。」
「そっか・・残念だね。」
「ホント頼んでごめんねー。じゃあね。」
「うん、明日ね。」

 明日香ちゃんは来れない。 仕方なく、待ち合わせの時間に校門に行くと、若葉ちゃんしかいなかった。

「おはよう。あれ? さっちゃん、まだみたいね。」
「明日香もまだみたい。だけど、幸子は来れないよ。なんか用事出来たみたい。」
「えぇ? やだ。 明日香ちゃんも無理って電話入ったけど・・」
「そっか。 とりあえず2人でも行こうか。」

 二人で、豊島園に向かってった。

乗り物は、そんなに乗れず、お土産屋さんに行った。

「あ、これ可愛いー。」

 私の目に、星の指輪が目にとまる。黒い石が星の形してて、可愛いデザインだった。

「なんか、つけると気分によって色が変わるみたいね。」

 ムードリング。映画「MY GIRL」の主人公の女の子がつけてたっけ、そういうの。

 若葉ちゃんと二人、今日の記念として買った。

ほんと束の間の楽しい時間だった。

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