10、未来の想い。

 それからゴールデンウィークに突入した。何も考えられないくらいだった。ずっと、ぼぉっとしてた。学校行くのが怖かった。洋子さんの仕打ちが怖かった。たった一回で終わるなんて思えないから。

 ゴールデンウィーク明けの6日。私は、昼休みに委員会があったので行った。

 私は図書委員になっていた。昼休みとか、本の貸し出し当番になってる時もある。

 様子を見に、若葉ちゃんや明日香ちゃん、さっちゃんも来てくれた。

 私は、夏目漱石の「こころ」を借りて、その日の当番を終えた。

 その放課後。4人で下校していた時に私は言った。

「あのね・・私ね・・皆に言いたいことあるの。」

 3人が、ビックリしていた。いつも、聞き役が多かった私が話すのは珍しいから。

「何?」
「どうしたの?」

「あのね・・・私の好きな人なんだけどね。若葉ちゃんには、もう知られているんだけど・・・。私、2組の高野くんが好きなの。同じクラスの洋子さんも好きみたいで・・・大変だけど。」

「え? 高野? あ! 清水と一緒にいる人?」
 明日香ちゃんが、そう言う。
「うん・・。」
「だから、この前、洋子が未来に嫌がらせみたいな事したんだね。」
 さっちゃんが納得した。
「だから・・・この先、3人に迷惑かけるかもしれないけど・・・」
「未来!」
 明日香ちゃんが私の目の前に来て、おでこを叩いた。
「迷惑なわけないでしょ。未来は、私らの友達だよ? 頑張って欲しいもん。だから、迷惑なんて思っても言っちゃダメ。」
「あ・・明日香ちゃん。」

「そうだよ!未来! 洋子なんかに負けないで!」
 さっちゃんが、私の肩を叩く。

「まだ未来達と仲良くなって、短いけど私も応援するよ!」
 若葉ちゃんが私の手を握る。

 みんな・・・。

 私は、嬉しくて泣いてしまった。
これから、どんな恐怖があっても、苦しくても、みんながいるから・・・頑張れる気がしてた。

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