12、赤い痛み。

 中間テストが終わった。結果は、平均。もっと、勉強すれば、良かったかもしれない。でも、数学は良かった。その点、国語はガタガタ・・・。

 テスト明けに体育があって、余計にブルーだった。

「今日の体育はドッジボールをします。」

 体育の香田先生は、言った。よりによって・・・ドッジボール(涙)。私の大嫌いな競技。明日香ちゃんと、さっちゃんはサッサと外野に行っちゃうし・・若葉ちゃんと一緒に逃げまわってた。なんてたって、相手チームは、洋子さんと、その取り巻き達なんだもん。

 洋子さんの投げるボールは、きつい。明日香ちゃんに当たった時、「バン!」って、音がした。

「み・・・未来! 危ないっ!」

 洋子さんによって投げられたボールが私目掛けて飛んできた。

バァン!!!

「い・・いった〜〜い・・・。」

 顔面直撃した。顔全体がヒリヒリするように痛い。

「顔なのでセーフ。」

え?? アウトじゃないのー。わぁあぁん。。

 それでも、洋子さんは私を狙って投げる。顔面目掛けて。何度も顔面に直撃した。

バン!!!

 また、ぶつかった。

ぽた・・・ぽた・・・。

「未来!!?」

 若葉ちゃんが駆け寄る。なんか気持ち悪い・・。床を見ると、赤いものが落ちていった。

「未来、上向きな!」

 明日香ちゃんも駆け寄って、そう言った。私は、自分の鼻を触ると、赤い血がついたのに気付く。

え? は・・鼻血??

「先生、私、椎名さんを保健室に連れていきます。」

 そう言って、私の肩を抱いて、明日香ちゃんが保健室まで誘導してくれた。

 私は、汗拭きタオルを水で濡らし、鼻を押さえた。

「保健婦さん、職員室にいるみたいだから私、呼んでくるね。」
「うん。」

 そう言って、明日香ちゃんは走り出す。私は、保健室前の椅子に腰掛ける。

すると・・・

「イテテテ・・・」
と、男の子が、左肘を擦りむいたらしく、やって来た。

「椎名? どうしたんだ? 鼻血?」

 この声・・藤木くんだ。

「う・・うん。藤木くんは?」
「俺はサッカーで勢いあまってコケちゃったら、擦りむいた。」
「そっか。。」
「でも、鼻血って、変なことでも考えたのか?」
「ち・・違うよ。ドッジボールで顔面にぶつかったから。」
「ふぅーん。そう言えば、椎名と話すの初めてだな? 最初の会話が、こんなんじゃカッコ悪いや」

 そう言って、お互いに笑った。

そうだね、なんか初めて話す感じがしなかった。
そして、しばらくして保健婦さんを連れて明日香ちゃんが戻ってきてくれて、処置をしてもらった。

 藤木高士くん・・。初めて話した感じがしなかった人。まさか、この後で色々助けてもらうなんて、この時の私には何も知りませんでした。

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