19、兄の過去。

 私達は、ずっと考えてました。何が、洋子さんを苦しませてるのか、私と若葉ちゃんに関係あることを全て考え直してみても見つかりませんでした。

 そんな、こんなで2学期になりました。

相変わらず、洋子さんの厳しい態度で私達に詰め寄ってきたりしました。

 そんなある日の放課後。

図書室は、クーラーがきいてるので、夏の時期は、利用者が増えます。今日もまた、さっちゃんと、明日香ちゃんは来ていた。若葉ちゃんは部活だった。

「ねぇ、未来。ココ分かる?」
「んっとね・・これは、なんだっけ??」

「それは、こうだよ。」

 藤木くんも、藤木くんの幼なじみで1年の時、私と同じクラスで、同じ図書委員の下出くんも、よく図書館に来るようになって、6人で和気藹々としてることが多くなってきた。

 私は空っぽだった。

みんなと話してて、楽しいのに・・でも、何か寂しかった。

 あれきり、高野くんとすれ違わなくなった。

このまま、洋子さんとも和解できずに、高野くんにも思いを打ち明けることなく、3年生になってくのかな。。

その時だった。

「生徒の呼び出しをします。2年4組の椎名未来さん、2年4組の椎名未来さん、至急、職員室まで来てください。」

「えっ? なんだろう。しもちゃん(下出くん)、あと、よろしくね。」
「ほいよ。」

 私は、何かマズイことでもしたのかな? この前の小テストで赤点でも出しちゃったのかしら・・。

 不安が過るなか、職員室に行く。

「失礼します。」

 職員室に入ると、

「おお!!! 椎名!!」
「え? あ・・大町先生!」

 大町先生、私の1年の時の副担任で、私のお兄ちゃんが、2、3年でも、お世話になった人である。

「久(兄)は、元気してるか?」
「はい、おかげさまで、大町先生のおかげで、随分と、変わったって、お母さんも言ってます。」
「そうかそうか、未来の方は、どうだ? 頑張ってるか?」
「はい。一応。」
「久は、長谷部と、よく喧嘩してたけど、妹同士は、喧嘩ないか?」
「えっ?」

 私は、その言葉にキョトンとした。

「なんだ、知らなかったのか? 長谷部洋子の兄は、お前の兄と、よく喧嘩してたんだぞ?」
「本当ですか?」
「本当も何も、妹同士は、喧嘩ないのなら、いいんだ。」

 私のお兄ちゃんと、洋子さんのお兄ちゃんが喧嘩してた。

 もしかしたら、それに何か関係してるのかな?

 私は、大町先生と少し、話した後、開放されて、図書室に戻ってった。

 でも、喧嘩してたとしても、どこで、若葉ちゃんと関係があるの?

 それがわからないよ。

 もつれた糸は、そう簡単に解けない。でも、そのまま切ることも出来ない。
 難しくてもいい、解けることを信じていたい。

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