26、合唱コンクールの季節。

 運動会が終わると中間テストがあって、その後にすぐ合唱コンクールがやって来る。課題曲は「若い翼」に決まった。自由曲は、さすがに皆、悩んでいた。

 私は、大好きな曲「遠い日の歌」が良かった。デモ、一年生の課題曲になるらしく、没。

 洋子さんは張り切っていた。歌が好きらしく、積極的にソプラノのリーダーになっていた。私は、音楽の先生に、

「椎名さんの声はソプラノね。」

と、言われた。

 洋子リーダーの指図を受けなくてはならない。。若葉ちゃんもソプラノで、さっちゃん、明日香ちゃんはアルトになった。鶴巻さんもアルト。まだ、さっちゃんと明日香ちゃんは喧嘩が続いていた。

「あーー、あーーー、あーーーー。」

んーー。私は声が小さいほうだ。どうしても大きな声は出ない。

 また音楽室に来て、若葉ちゃんと練習していた。洋子さんに、

「椎名さんと角田さんは声が小さいから大きな声になるように練習して!」

と、言ったのだ。

だから、必死に私は練習していた。

「未来、またあの曲を歌おうか?」
「うん♪」

 私達は、「そのままの君で」を歌った。

でも、その辺りから急に私の体調がおかしくなってきたのだった。

「気持ち悪いぃ・・・」

それから数日後、自由曲は「アムール河」に決まった。でも、私の体調は悪化していた。

「未来、熱計ってみよっか?」
「うん。。」

 朝、私は吐き気と咳に悩まされた。熱は、平熱が36.3℃な私。でも、今日は、39℃近くあったのだ。学校を休んだ。

 気持ち悪い・・。でも去年の夏。私は、盲腸になった。その時の辛さと比べたらへっちゃらだけど。

 ずっと横になってた。

夕方くらいに若葉ちゃんから電話が掛かってきたらしいのだけど、私は寝ていた。

すごく辛かった。

今までの辛さとか、苦しさとか全部出てるような気がしてた。

次の日も休んだ。

その次の日、熱は下がったので、登校する。でも咳は止まらなかった。

「おはよう未来!!平気?」
「あ・・ゴホゴホッ。おはよぉ若葉ちゃ・・ゴホッ」
「平気なの?? 無理しないほうがいいよぉー?」
「ん・・ケホケホッ・・。」

確かに無理してた。

 休んでいた分、練習が遅れてるんだもん。だから必死だった。

「椎名?大丈夫?」
「藤木くん・・平気だよ?」
「無理しても良くないからな?」
「うん。」

 ホントは、すごく、しんどかった。でも、授業から遅れたくないし。熱が下がってるのに、休みたくないと思ったんだ。でも、そのことが返って、自分を苦しめてたなんて、あとから知った。

「明日の練習はセミナーハウスでやります!」

 そう、帰りの学活で言われた。

セミナーハウスかぁ。

 まさか、そこで、とんでもない事件が起きるなんて、その時の私には知る由もありませんした。

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