28、私が守る!

 若葉ちゃんを支えながら、校舎に向かう。若葉ちゃんは震えてる。

 校舎に近づいた時・・

「角田ー! 椎名ー! 頑張れよぉ!!!」
「角田、泣くんじゃないぞ!」
「椎名、角田を守ってやれよ!」

 私は、声でピンときた。しもちゃんと、しもちゃんのクラスの友達のすーちゃんだって。

 それから、私達は教室には行かなかった。北の女子トイレに行った。

 若葉ちゃんは、なかなか顔をあげなかった。ずっと私の胸でシクシク泣いていた。

 私は思ったんだ。若葉ちゃんを守るって。これから、どんなことが起きても、若葉ちゃんを守りたいって。

 初めて授業をサボった。

先生にも、洋子さんにも、他のクラスのみんなにも会わせる顔がなかった。

 でも、今、この状況はソプラノのリーダーである洋子さんにとって、都合の悪い状況になってると思った。

「未来ぃ・・ずっと、一緒にいてね?」
「えっ・・?」
「未来、大人になっても私と友達でいてね。」
「・・うん。」

 私は、分からなかった。大人・・・いつになったら大人になるんだろう。

 大人になるころ・・・私は、若葉ちゃんと友達でいれるかも不安だった。でも、いようと思った。

私は、若葉ちゃんを守るって。


「こんなトコにいた!!」

 そう、明日香ちゃんと、さっちゃんがやってきた。

「もう、何やってるのよ? 井出先生、ビックリしてたよ?」
「そうそう。ビックリしてたよ。『真面目な角田さんと、椎名さんがどうしていないの?』って。」
「そうなんだ・・。」
「ホラ、もう放課後の練習終わっちゃったし、教室に戻ろう?」

「いやだ・・。」

 そう、若葉ちゃんは答えた。

「じゃ、未来だけでも戻ろう。そして、若葉の分もバックとコート取りに行こう。」

「やだ。未来を連れてかないで!」

 そう、若葉ちゃんは私の腕を引っ張った。

「分かったよ、未来と若葉の分持ってくるよ。」

 そう言って、すぐに二人は私達のバックとコートを持ってきてくれた。

 そのまま、下駄箱に向かった。

すると・・・

「椎名さーん、角田さーん!!!」

と、洋子さんの取り巻きの一部が来た。

「どこにいたの? 心配したよ?」
「洋子のことでしょー? 私らもウンザリしてたんだー。」
「一緒に頑張ろうよ!」

 私と若葉ちゃんはキョトンとした。
 
え? なんで?

って想いが駆け巡った。


 次の日から、私や若葉ちゃんは洋子さんと極力、会わないようにした。練習でも、話しは聞くけど、発言をしない。そんな感じに。

 クラスの皆が気付いた。

私と、若葉ちゃんが洋子さんに集中攻撃をされてるってことを。

 すると・・・クラスのほとんどの人は、洋子さんを「いやな人間」と見るようになっていった。

「角田や椎名をいじめるヤツだもんな、コイツ。」

などと、言う男のコもいた。

結果的に、洋子さん自体がクラスの人からいやな目で見られ出して・・・私達に何か言おうと来ても、途中でクラスの人が、

「また、いびるの?」

とか、野次を飛ばすようになって、だんだん・・・洋子さんは孤立化していった。

まだ、彼女の周りには取り巻きがいたけど、前ほどの人数では、なくなっていって・・・


そうして、イジメが消えていった。

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