31、スキー教室・初日。
 直子は最強だった。私達はビックリ仰天するようなことを起こしたのがスキー教室だった。

「全員クラス毎に並べー」

 今日からスキー教室。

期待と不安に苛まれる心。

「未来、あんたは体が弱いんだから無理しないのよぉ。」

 そう、今日の出発前にお母さんに言われた。去年の臨海学校も、その5日くらい前に盲腸になったし・・お母さんやお父さんは心配してる。

「未来!!おはよー!」

 低血圧の私に響く甲高い声で直子が飛びついてきた。

「うぅ・・・おはよ・・」
「なぁに、朝から厳しい顔してンのよっ!今日から親も先生も公認のお泊まり大会じゃないよ〜」
「はぁ??」

 うにゅ。。ホント頭いたいや・・。

「未来、高野くんが来てないみたいだよ。」

ポソッと明日香ちゃんが教えてくれた。2組の先頭の代表委員を見てもいない。 どうして?

 もうすぐ出発式始まっちゃうよ。

「すいません、遅れました。」

と、汗だくで高野くんが現れた。どうしたんだろう?

 でも、話ができるわけじゃない。

そして、出発式の司会は、高野くんだった。汗を拭きながら話してる。

 そして、各クラスのバスに乗り込むことに。

「椎名、お前平気か? すっげー青褪めてるぞ?」

 と、藤木くんが言った。

「ん、大丈夫。」

「椎名。」

 久し振りに聞く声がした。振り返ると、高野くんだった。

「えっ? あ・・高野くん。」

 すごい久し振りで、どうしていいか分からなくて目が合わせられない。

「さっき、椎名の兄さんに会ってさ、お母さんに頼まれたらしくて、これ。」

 高野くんの手から渡されたのは、乳酸菌の入ったお薬。体調が悪くなったりすると、いつもお母さんが飲みなさいってくれたのだった。

「じゃ・・」
「高野くんっ!」
「なに?」
「あ・・ありがとう。」

 バスに乗りこみ、いざ、ベルデ武石。

途中のサービスエリアで、トイレ休憩があり、外の空気を吸う。

 少しずつ、気持ちが軽くなってきた。

すると、直子の姿が消えた。

「あいつならほっとこう」

 さっちゃんがそう言ったので、4人でバスに帰る。

 出発間際、

「うわぁぁぁぁ!!!」

 藤木くんが逃げるようにバスに乗り込んできた。
「藤木、もっと落ち付きなさい。」

 井出先生が言う。

「椎名、鶴巻をなんとかしてくれよぉ!!」
「え?」

「やん!藤木くんたら恥ずかしがっちゃって!」

 そう言いながら、直子がバスに乗ってきた。

「どうしたの?」
「ツーショット写真ありがとうね!ふ・じ・き・く・ん!」


 あんぐり。。

 
 直子は最強だ。

そしてベルデ武石に着くと、荷物の整理などして、いざスキー場へ。

 白銀の世界が目の前に広がった。眩しくて、眩しくて。キラキラ輝く世界。

これからの3泊4日の生活で、私が、変わってくとは気付かないまま・・・私は、その1歩を踏み出してた。

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