35、スキー教室・最終日の悪夢。

「お世話になりました!」

 お世話になったベルデ武石の皆さんに向かって、私達はお辞儀をして、バスに乗り込んだ。

 なんか、疲れたなァ・・。色々、思いが変わった気がしてた。

 せっかく、初日は嬉しかったのに・・何故か、首を傾げてしまうかのようの気持ちが募る。隣に座ってる若葉ちゃんも、その空気を感じ取ってるみたいで、何も言わない。

 そして、釜飯で有名な場所で、お昼休憩となった。

「ふぅっ・・・。」

 食欲無いなぁ・・。隣で食べる、若葉ちゃんや明日香ちゃん、さっちゃんが心配そうに見つめていた。

「未来、コレあげる。」

と、明日香ちゃんが具の中の椎茸を私の口に入れた。

「んぐ・んぐ・・。ん・・・。」
「未来、ちゃんと食べな。食べさせてあげるから。」
「明日香ちゃん・・。うん。頑張って食べるよ。」

 私は、ゆっくりとだけど食べ始めた。

それを目の前で見ていた、藤木くんも安心したかのような顔してた。

 ご飯も食べ終わって、お土産屋さんで時間が取られてた。

 その時だった。

「うわぁぁぁぁ!!!」

 ん?

「た・・助けてくれぇ!!」
「と・・時ちゃん?」

 時岡くんが走ってた。若葉ちゃんが、そっと駆け寄る。

「どうしたの?時ちゃん。」
「つ・・鶴巻直子が・・・。」
「えぇ??」

 走ってきた直子が立ち止まった。

若葉ちゃんが厳しい顔をしている。

「ちょっと、直子、顔貸しな。」
「やん♪ この美貌が、そんなに欲しいの? わ・か・ば♪」
「ふざけてるんじゃないの。とっとと、顔貸しな。」

 私は、若葉ちゃんについてく。

 バスの駐車場の裏。 外だから、少し冷たい風が頬をさす。

「直子さ、あんた、どういうつもり?」
「何が?」
「あんた、色んな男を追っかけまわしてるみたいだけどさ、迷惑なんだよね。あんたとは友達とも思いたくないんだ。私、許せない。」
「ヒガミ?」

 直子は、クスッと笑いながら言った。

「何よぉー!」
「わっ若葉ちゃん!!」

 若葉ちゃんが、直子に詰め寄ろうとしたのは私は食いとめた。

「私は、あんた達みたいに凡人じゃないの。可愛いし、気が利くし、可愛い女を男が放っておくほうが可笑しいじゃない?」
「あんたは間違ってる。」
「まぁ、若葉みたいに男っぽかったり、未来みたいにひ弱を比べたら、未来の方が可愛いかもしれないけどね、私には劣るけどさ。」

「直子、まさか・・・。」

 若葉ちゃんが、息を飲んで言う。

「私や、未来や、明日香や幸子をバラバラにするために、私達の中に紛れてきたんじゃないの?」
「それが、どうかした?」

 直子が、シラッとして言う。

「やっぱり・・思ってたんだ。清水のことだって、藤木のことだって、時ちゃんのことだって、私達に関係してる男達だから。」

「友情なんて、所詮、壊れてしまうものよ。恋愛がからめばね。」

 そう言って、直子は去っていった。

 若葉ちゃんは、やっぱりと言った。

 どうして? どうして? 恋愛と友情は両立できないの?

 そんな事ないよね?

 私は、直子が言い放った言葉の意味が分からず、ただ、苦しい気持ちが募っていった。

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