私は、そうして自分の気持ちを押さえてるのがつらくなって・・・高2の夏、バイトを辞めた。

 ホントは、一緒にいたかった。でも、好きになっても辛くなっていって・・・精神的にボロボロだった。好きになんて・・・もう、ならない。誰も信じられない。

 LUNA SEAの「UP TO YOU」が部屋のCDラジカセから流れ出した。。
「夢を見続けて 走り続けた」
「雨に打たれても 夢が滲んでも
 明日を信じて この手は離さない」

 涙が止まらなかった・・・どうしても、止められなかった。もう・・・好きになれないかもしれない。そこまで落ち込んだ。もし、あの時・・・私も好きだって言ったら・・・何かが変わっていたのかもしれない。

 そういう思いから立ち直ったのは・・・私が17歳になって、1日が過ぎた日だった。

 LUNA SEAのJ君がラジオのDJをしていたのだ。NACK 5で、結構聴いていた。その日は何気にカセットテープに録音をしていた。J君がセレクションしてカッコイイ音楽を流してくれるので、それを録音したかったのと・・・J君の声も録音したかったのだ。

 その日は夜、台風の影響で、雷まじりの大雨だった。J君は25時〜27時生放送でラジオを進めていた。たまに雷のせいで、音声が弱くなったりしてしまったけど・・・

「え〜続いての質問は・・・東京都練馬区の・・・○○愛さん。本名で呼んでくださいって書いてありますけど。」

 !!!!!!!

 私だった。そういえば、ラジオに手紙を出したのだ。

 質問がROCKしてない内容だったけど、丁寧に答えてくれたJ君。J君の声から、私の名前が出たのが嬉しくって・・・涙が止まらなかった。そのテープは何よりも宝物になった。

 そうして・・・SHINING BRIGHTLYツアーの最終クリスマスライブのチケットが取れたのだった。私は、そうしてますますJ君にのめりこんでいった。
 そうして・・・高校生活も充実してきた頃、友達のKNちゃんから中学時代の友達を紹介してもらう。その人こそが、水城朔夜さんなのだ。そこから、空ちゃんとか、るかちゃん、しおり閣下とも仲良くなる。4人はアニメーション部にいて、イラストが上手くって、衝撃を受けたね〜。なんていうか・・・自分らしさを持ってて、私は、みんなを尊敬の眼差しで見るようになる。(もちろん今でもみんなを尊敬してる。)

 ポケットベルを持っていた。よく「ベル友にならない?」とかきた・・・。出会いは、欲しくなかったわけじゃない。でも、そういう必然性がイヤだったのだ。だから、近くにいてくれる人・・・そういう人を好きになりたかった。

 そうして、1月になった頃、駅前のコンビニでバイトが決まった。中学の時の友達Sちゃんも一緒に始めた。

 Sちゃんは、高校をTちゃんと一緒にしたのだけど、何か原因で喧嘩をし、そしてTちゃんは高校を辞めたというのだ。私も高校が違うせいで、あんまOちゃんとも会えなかった。それに高校の友達も大切だし・・・ね。

 Sちゃんは、そのバイト先で、スズキさんという人を好きになった。4歳上で、20歳の人だった。私はキツネに似てるとか思ったけど・・・スズキさんには彼女がいた。ヒロミさん。スズキさんと同い年で、とても美人な人。私も、よく、してもらったから、どっちがどっちとか、出来なかったんだ。

 それに私も4歳上のイナゲさんを好きになっていった。音楽の話とか、ギターの話も、性格的に安心できる人だったけど・・・結構、女好きだったのよね・・・。まだ子供な自分に嫉妬して・・・だけど好きだった。一緒にいて欲しいってだけだった。ただ、それだけの思いだった。

 だけど、Sちゃんに
『私もイナゲさん好きかも・・・』
とか、スズキさんも好きだからとかで、振り回された。Sちゃんは、彼氏が欲しいだけだったのかもしれない。だけど、私は「彼氏」って、どういう存在の人を言うのか分からなかったんだ。

 Sちゃんの野望は凄かった。彼氏っていうのは、キスしたり、Hしたり・・・特別な関係を言うんじゃないの?ってね。私は、キス経験しちゃってたけど・・・Hなんて!!!って気持ちだった。

 そんな頃、バイト終わった時にバックヤードにイナゲさんがタバコを吸っていた。
『アイアイ(そう呼ばれてた)。お疲れさん』
「あ、お疲れ様です。」
『もう帰るの?』
「はい。」
『ちょっといい?』

『Sってさ・・・俺のこと好きなの?スズキのこと好きなの?』
え?? って、ビックリした。どうして分かるの?って気持ちで・・・
『別に誰かに言うなって言われてるだろうけど、イヤなんだよね〜俺。』
「・・・。」
『だってさ、スズキにはヒロミちゃんいるし、俺には・・・今、特にいねぇけど、なんか二股掛けられてるって最悪じゃん?』
「そうですね・・・」
『俺、S嫌いなのよ。趣味じゃないのよ。うん。だってさ〜、アイアイと喋ってる時は、うるさいくせに俺と喋ると、静かになるんだぜ?そういうのって最悪。』

 私は、何言っていいのか分からなかった。

『俺は、アイアイの方が好きなんだ。』
 夢を見てるかと思った。だけど、自分の気持ちを押さえてしまったのでした。これが後になって後悔になるのでした・・・。
 ついに高校生になる。自分が目指してたゴール。だけど、また次への夢のスタートになる一瞬。そう想いを抱きながらの入学式になった。

 それに、バイトができるって年齢。一番最初にバイトしたのは近所のスーパー。担当はレジ課。しかも、なかなか馴染めなかった。何故かというと、そういう見知らぬ人の中で仕事も、分からないだらけのことも多くって、結局は2ヶ月で辞めるハメに。

 その辞める少し前に、同い年の男の子3人組が新人として入ってきた。しかも、その中に、卒業式に私に告白してきた男の子がいたのだ。ただの偶然だと思いながら・・・それに、失恋の痛手とLUNA SEAの活動停止のせいで、なかなか元気になれてなかった私。

 辞める日、家まで30秒の道を歩いてると・・・
『おい!!』
と、その告白してきたWくんが声を掛けてきた。
そうすると、少しだけ話しようと言われ、近くの公園に行く。
『ホントに辞めちゃうの?』
「だって・・・仕方ないじゃない。まだ15歳だから、お店に苦情がきたっていうし・・・。」
『俺の好きになったお前と、今のお前違うよ。』
「当たり前ジャン。だって、中学の時と違うもの。」
『俺・・・』
と、言ってナント!!!! Wくんは私にキスをしてきたのだ。ビックリしたし、怖かったから思いっきりひっぱ叩いて逃げた。

 ファーストキスだった・・・。まさか、こんな風に奪われちゃうとは思っていなかった。だって、これから、他に好きな人作って・・・それで両思いになって・・・それでって・・・そう考えてたから。次の日、風邪ひいていた私。学校に行けない状態だった。せっかく皆勤賞を狙おうって思ってたのに、悲しかった。

 だけど、自分の中から何かが消えたのは事実だった。Yくんの想いも浄化された気がした。ちゃんと好きになれる人を作ろうと決めた。

 それから、私は学校で親友を作った。出席番号が近かったKNちゃん。なんか、雰囲気で共通する部分のあったKAちゃん。(二人ともイニシャルKなので、補足しました。)とても楽しくって、愉快な高校生活の幕開けだった。
 12月になって、私は進路変更をした。それまで普通の高校を選んでいた。家からも近くて、そんな普通の高校でいいと思っていたんだけど。。。
 夢を思い出したんだ。私・・・保母さんに、なりたかったんだって。それに近道になるか、分からないけど・・・福祉コースのある高校を見つける。毎年、倍率が2倍以上になる高校。だけど、挑戦したかった。

 天皇誕生日の日。塾で猛勉強をしていた私。この日、LUNA SEAが横浜でライブをしてるって立ち読みした雑誌で読んでいた。月が大きな満月だった。塾帰り、自転車を引いて、月を見ながら歩いて帰った。寒かった・・・だけど、心の中に、ゆとりが生まれた気がした。

 塾の先生は、大丈夫だと言ってくれた。だけど、中学の先生は、無理だと言った。でも、私は怯まなかった。この高校だって思ったから。

 そして年が明け、勉強もラストスパートかけ、まず推薦で受ける・・・が結果はダメだった。また、怯まずに、一般に勝負を掛ける。

 そんな一般試験前日、担任の先生に呼び出される。
『これ、読んでおいてね』
と、手渡されたのは、私立の二次試験のある高校の一覧だった。
 どういう意味・・・? まだ結果も出てないのに、そんな・・・そんな・・・って気持ちになった。私は、破り捨てた。

 結果、見事、合格だった! 嬉しかった。泣き出していた。

 そして・・・卒業式。この日に私は告白するって決めていた。だけど・・・当日、卒業式で涙が、いっぱいでて・・・もう苦しい気持ちや・・・辛い気持ちとか、いっぱい交錯してた。答辞を読むYくん。Yくんの声が・・・胸で、いっぱいになる。

 式後、私はYくんを探してた。いつもは、ポニーテールの髪を、おさげにしてた私。少しは、自分の中で「変わらなきゃ」って思いがあったんだと思う。友達のRちゃんが私のトコに来た。
『愛ちゃ〜〜ん!!! Yくん、いたよ!!早く!! 帰っちゃうよ!!』

 Yくんは、もう校門を通り過ぎて友達と歩いていた。Rちゃんが、
『Yく〜〜〜ん!!!!』
と、声を掛けた。まだ心の準備も出来てないのに・・・しかも後ろにはOちゃんや、Tちゃん、Sちゃんや他の友達が集結してる!!!
R『Yくん、あのね。愛ちゃんのコト、知ってるよね?』
Y『あぁ・・・知ってるけど。』
R『愛ちゃんが話しあるから聞いてあげて!』
と、言って・・・Rちゃんは、Yくんの友達や、後ろに来てた友達を少し遠ざける。

 小さな沈黙が続く。
Yくんは、とても困ってる顔をしてる。
「あ・・・あの・・・。」
 私は沈黙を破る。
『何?』
「答辞・・・すごく良かったです。」
『ありがとう。』
「あのね・・・1年の時さ・・・」
『もっと大きな声で早く言ってくれないかな?』
「う・・・うん。私・・・1年の時からね・・・Yくんの事、ずっと見てました。」
『・・・・・・。』
「好きです。」
 私は、そう言って顔を手で隠す。体が今にも倒れそうなくらい、心臓が強くドキドキしてた。
『・・・ごめん。誰とも付き合えないんだ。』
「じゃ・・・じゃあ・・・友達として忘れないで」
『あぁ。分かったよ。忘れない。』

 初恋は実らない。本当に、そうだった。しばらく、私は動けなかった。だけど・・・その直後に他のクラスの男の子から告白された。全然顔も知らない人だったから、それに失恋したばかりだったから・・・何も考えられなくって、断った。

 まさか、その告白してきた男の子と、また、再会する事になるとは・・・
 中3の2学期が始まった。全てが敵に見えてくる時期でもある。塾通いは週2日で数学と英語を習う。他の日は家で勉強したり、休日はOちゃんと図書館行って、勉強を教え合ったりしてた。

 だけど、噂は消えていた。だけど、少し、Fくんとは距離を置くことにして・・・クラスで話すのはUちゃんくらいになってった。でも席が近くになるなんて事は少なくって・・・授業してても、何か不思議な気分だった。私の前と後ろの席の子が授業中、手紙で話してて、その渡すのを頼まれてイヤだった。授業してるのに、そんなの出来るわけないってね。。

 私の体調悪いときも・・・繰り返してて、もう嫌気がさしていた。気持ちワルいのに・・・お構いナシに・・・。

 今年も合唱コンクールがある。別に威張るって人もいなかったけどね。だけど・・・私はアルトにした。ソプラノでも声は出たんだけど・・・ソプラノには大きな声を出せる人が、いっぱいいたから・・・。結果は、見事に優勝をした。だけど、私自身は、みんなと心が一つになれたとは思わなかった。あとで聞いた話で、優勝したから打ち上げパーティみたいな事をしたらしい。だけど、呼ばれなかったのだ。

 所詮・・・私なんて必要ないんだ。

 勉強に没頭する。深夜ラジオも聴くようになる。LUNA SEAの存在も立ち読みした音楽雑誌でスペルとか把握する。「END OF SORROW」が、とても気にいってた。
「きっと人は 偶然と闘って 涙を知る セピア色の想い出 独り言が似合う 世紀の果てに 自分の事 気付き始めてる」
 自分と重ね合わせていた。

 募る思い・・・Yくんの噂を耳にする。1年から3年まで、同じクラスのIさんが好き?付き合ってる?って。悲しかった。とても、とても悲しかった。

 そんな時、ある1日が私を変える。
日直当番がFくんとなってしまった日。だけど、何も変わらず話してくれてたFくん。まぁ・・・少しは気が許せる友達だから、喋ってた。それで、放課後、日誌を職員室に持っていって日直の任務終了になる。帰り支度もして、Fくんと職員室に向かおうとしてた時、Oちゃんや、Fくんの友達(中1の時、同じクラスになった事ある)のJくんもくっついてきた(^^;
 
 その時だった。Jくんが・・・
『あ!!!Yくん!!!!』
と、6組の前を通ろうとした時にヒョッコリとYくんが教室から出て来た。
Y『おぉ〜Jじゃん。どしたのぉ?(楽しそうに言ってた)』
J『んとね〜、Fくんの付き添いでね、職員室に行くトコなんだ』
F『ども。』
 私にOちゃんが耳打ちをした。
(話し掛けるチャンスだよ!!ファイト!)
 私を見てきたYくん。ど・・・どうしよ・・・何て話せばイイの・・・??
F『おい、行くぞ!!』
と、言って私の腕を引っ張ったFくん。
「あ・・・。」

 引き離された感じがした・・・。

 その帰り道・・・Oちゃんが、
『愛ちゃん、Yくんに告白しなさい!』
「え・・・?」
『このままじゃ、何も言えないまま卒業して、Yくんへの思いを募らせるの?』
「わかんない・・・」
『ちゃんとYくんに、愛ちゃんの気持ちを言わなきゃ、ね?』
「うん・・・うん。」

 勇気を翼に込めて、願いを必ず伝える。
そう決心したんだ。
 中3になった私は、Oちゃんとクラスが分かれてしまいました。Oちゃんは1組。私は4組。結構、不安だった。でも、例のY子は、2組になって、虐めからは回避ができました。

 友達のSちゃんは5組、Tちゃんは6組で・・・2人の好きなCくんは、ナント私と同じ4組になったんだ!! しかもYくんとOちゃんが好きなMくんはTちゃんと同じ6組。複雑ながらも、少しはキッカケ作りができるようになったのも束の間・・・。

 私はクラスで、どうしたらいいのかわかんなかった。みんな、それぞれ同じ小学校同士、もしくは前のクラスでの友達同士で固まっていた。私の場合・・・同じクラスだった人はY子の取り巻きだった人達だから・・・しかも同じ小学校出身者なんて男子しか、いなかったし。。。
 同じような境遇のUちゃんと友達になった。Uちゃんは中1の終わりくらいに転入してきたらしく、そのせいもあって、馴染みずらかったという。私より、背が10センチ近く高かった子だから、並んで歩くと目線が上に・・・(^^;

 だけど、そんな時だった。Sちゃんと同じクラスになったAちゃんと友達になったら・・・
『愛ちゃんと同じクラスのFくんの情報教えて!』
って、いわれた。
 Fくんは、2年の時も同じクラスで、私よりTちゃんと仲良かった人。Tちゃんと、たまに一緒にいる私にもつっかかってきた奴だったから、あんま好きになれない人だった。
 Aちゃんは、スキー教室以来、Fくんが好きになったという。友達の頼みだからと、私は引き受けてしまった。

 でも、やっぱ、話し掛けるのは大変だった。男同士で話してるFくんに・・・。そこで、小学生の時、何回か話した事があったRくんを巻き沿いにして(?)話し掛けるようにした。でも、これが逆に裏目になるのだった。

 ある日・・・Oちゃんが、
『愛ちゃん、Yくんやめて、Fくんに乗り換えたの?』
「え??」
『噂になってるよ。Fくんと愛ちゃんの事。』

 私は・・・泣きたかった。きっとYくんの耳にも入ってるんだろなって。廊下で、すれ違うYくんを見れなくなったまま、夏休みに入った。

 塾で夏季講習を受けてた時も、同じ学校の子から、
『Fくんとは、会ってるの?』
とか、言われる始末。すごく嫌だった。だけど・・・小学校の3、4年の時、同じクラスになって、中学は別々になったKくんが、優しくしてくれた。小テストとか、答え合わせを隣の人と交換してするんだけど・・・そういう時、ほかの女の子は私とは仲良くしてくれなかったんだけど・・・Kくんだけは仲良くしてくれたんだ。なんか小学時代の嫌なことが夢のようになっていった。

 それと同じくらいに、受験勉強をしながら、変わらずラジオを聴いていた。そんな時だった!物凄い勢いのある音がした。数学の公式を思い出してた時だったから、またしてもアーティスト名を聴きそびれる。血が逆流してく感じだった。心臓の音が速くなって・・・体がビリビリしたんだ。
「揺れて揺れて今心が 何も信じられないまま」
 サビらしい部分に入った瞬間、頭がハンマーで殴られたような衝撃を受ける。

 今までに聴いた事ないよ! そして、何か英語を言ってる間奏部分。その声が、英語の勉強しろって言ってるようにも聞こえた。
ラジオの声『はぁい、聴いてもらいましたのは、LUNA SEAの「ROSIER」でしたぁ!』

 「る・・・るなしー・・・ろーじあ」

 私は、数学の勉強ほっぽって、英和辞書を開く。ろーじあ・・・LOJIA?ROZIA?とか、頭の中でスペルを思い浮かべては、必死に探す。けど、出てこない。るなしー・・・RUNACE? LUNACE? とか・・・その時に「LUNACY」を見つける。「狂気」。その言葉が私の頭を洗脳した。
「コ・ワ・イ!!」

 心の中で、そう叫んでた。
先生『じゃあ、全体練習しましょう!』
 救われた・・・。涙が出そうだった。怖くって・・・怖くって・・・。Oちゃんを見た。Oちゃんは目が潤んでた。同じだったんだ。そして気付いた、Oちゃんが震えていた。私は、Oちゃんの手をギュウッと握った。
 セミナーハウスでの練習が終わり、仕上げに教室で終学活がある。その後にも練習があるかもしれない。教室に向かおうとすると・・・Oちゃんが私の胸に倒れこんできた。
「お・・・Oちゃん?」
『わぁぁぁぁぁん・・・!!!』
 クラスのみんなは、ほとんど教室に向かっていた。セミナーハウスの横の階段で、隠れて泣き始めたOちゃん。私も涙が出てきた。我慢してたから、ずっとずっと耐えてたから。そして、校庭に私達だけになった。夕暮れになりかけてる太陽が、オレンジに染まって、私達の影を大きくしてた。
 私は、涙を堪え、Oちゃんの背中を抱きながら、ゆっくりと階段を一緒に上がる。そして、校舎に向かおうとしてた時・・・どっかのクラスの男子が公舎内の階段の窓から私達を見た。Oちゃんは顔に手を当てて泣いていたから、私は、その窓に目をやる。泣いたあとだから霞んで、よく見えなかった。それに逆光もあって、顔なんて見え無い。でも、男の子しか、いないって分かった。すると・・・
A『○○(Oちゃんの名字)〜、□□(私の名字)〜、頑張れよぉ!!!』
B『○○、泣くんじゃないぞ!!』
C『□□、○○を守ってやれよ!』
 びっくりした。私達を知ってる・・・。
 それから私達は、教室には行かなかった。Y子に会いたくなかったのと、他のソプラノの子やY子の取り巻き達にも会いたくなかった。ましてや、先生になんて顔を合わせられない。
 人気の少ない1階の北トイレに行った。初めてのサボり(?)。Oちゃんは、ずっと私から離れなかった。ずっと私の胸で泣いていた。私も少し泣いた。でも、負けたくないって2人とも思ったの。何か、仕返しとまでもいかなくても、したいと思ったから。結果的には、今、私達がココにいる事は、Y子にとって、都合の悪い状況になってる。
 その時に誓ったんだ。私はOちゃんを守るって。何があっても、例え死んでもOちゃんだけは守るって。
 その後に、Tちゃん・Sちゃんによって発見されちゃいました。2人から聞くと、終学活の時に先生もビックリなさっていたらしい。Y子は平然としてたみたい。教室に戻りたくないって言うOちゃんに付き添って、私は、Tちゃん・Sちゃんにバックとコート持ってきてと頼む。少し、中庭の見える場所へ移動する。
 時計を見ると、もうすぐ17時になりそうだった。もう、放課後練習も終わってる時間。
 Y子の取り巻き達が来た。私達は身を潜める。
A『どこにいたの?? 心配したよ??』
B『Y子の事でしょ? 私達もウンザリしてたんだ!』
C『一緒に頑張ろう』
 それから、合唱コンクールが行われた。結果は優勝できなかった。当たり前だ。こんな事件(?)あって、一致団結できるわけない。そういう風に中2は終わった。私は・・・もしかしたら、とんでもない人生を迎えるのかもしれないって思った。

 他にも色々あったけど、書ききれない(^^;

 中2から中3になる春休み。私の家の向かいに住んでる人が引越しをした。その時に、お兄さんからクラシックギターをもらう。お父さんが持ってるのより少し小ぶりで、2弦のぺグが壊れてるという。でも、私は嬉しかった。4、5,6弦だけをチューニングしてもらって、3弦だけでのコード弾きを勉強し始める。

 もう一度、あの曲を聴きたいとい思いから・・・。
中2になった私は、少しだけ強くなった。それは、「親友」と呼べる友達が初めて出来たのです。
親友・・・なんか照れくさくて・・・、でも、何でも話せる友達。それに、自慢の友達だった。Oちゃん。Oちゃんは、私と似ていた。でも、正反対だったんだ。
 
 恋の話もした。私とOちゃんは4組。Yくんは2組だった。Oちゃんの好きなMくんは6組。なんか不思議だった。今まで誰にも言えなかったんだ。Yくんが好きって事。だけど、最初「趣味悪い」って言われたケドね(^^;

 そんな時に一つの事件(?)が起きる。私の幼稚園からの友達、Tちゃんが、Tちゃんの親友Sちゃんと喧嘩をした。結構、4人で遊んだりもしてた仲だったから、驚いた。Oちゃんは、Sちゃんに、私は、Tちゃんに、それぞれ事情を聞いた。
 すると、2人の答えは・・・「同じ人を好きになってしまった」。 
 2人の意中の相手は2組のCくんだった。私は気付いた。そう言えば・・・Cくんって・・・Yくんと仲良く教室移動してたなって。私達が美術の授業の時、2組が音楽で隣りの教室まで移動で、よく見てた時、2人も見てたなって。
 2人は協力し合うって事で、仲直りしたけど。恋愛は難しいって痛感した。私は、まだ、初恋で、想いが募ると辛くって・・・息も出来なくなる感じだった。でも、Tちゃん、Sちゃんは同じ人を好きってだけで辛いんだろなぁって。
 そんな中で憤りもあった。またしても同じクラスになったY子が、Yくん目当てで2組に、よく行く姿を見てた。2組には、1年の時の友達も、2年になってから友達になった子もいたんだけど・・・なかなか積極的になれなくって・・・。Tちゃん、Sちゃんも朝から、朝学活前まで2組に行っていた。1回だけ、私もついて行ったけど・・・YくんとY子が喋ってるのを見て以来、ショックだった。

 そんな思春期の辛い時、私を支えてたのはラジオだった。小5の時、所属してた「科学クラブ」で自分でラジオを作った。そのラジオで、音楽を聴いていた。最新の曲とか、なんかカウントダウンとかは毎週欠かさず聴いていた。だから、知らない曲とか無かった。それが自分の中で安心感になっていた。

 そんなある日、そのラジオが壊れた。半田鏝が無いから、直せなくって・・・しかも部品も損傷してたから・・・もうダメだった。新しいラジオを誕生日前に買ってもらった。
 そのラジオはステレオタイプだった。前のラジオはヘッドフォンをしなければ聴けないタイプだったので、音が耳だけに残る感覚だった。でも今回のは体でも音楽を感じられる・・・そんな感じでした。深夜ラジオを聴くから、朝が起きれなくなっていった。毎朝遅刻ギリギリ。でも、そんな忙しい朝が私にとっては楽しかった。昨日の夜、聴いた曲みたいだなぁとか・・・そんな想いで。
 そんな時、私は、ある曲を聴く。タイトルとミュージシャンの名前を、うっかり聞き過ごしてしまった。でも、その曲のイメージが心に残った。「浮遊感があって、『佇んだ』、『満ちていく海』、『汚れた天使の羽』、『明日はなかった』そんな詩の一部、一部がコラージュのように、頭の中に刻まれた。初めて聴く声。不思議な声。そんな感じだった。まさか、この曲の出逢いが、この後の私に、とてつもない影響を与えるとは気付きもしなかった。

 それから、その曲の歌詞の鮮烈さに、自分で詩を書くようになる。それに曲をつけたい気持ちもあったけど、エレクトーンはあるけど、弾けない。親が使ってるギターも大きくてコードなんて弾けない。そんな環境で、その詩は、いつか「小説」にも変化していた。自分の周りをモチーフにして、書く。ひたすら書く。小説家の小林深雪先生に憧れた。私も、小説書きたいって思うようになってた。

 そんな時、合唱コンクールが近付いた2学期。私とOちゃんは、Y子から虐めを受け始める。私もOちゃんも小学校の時、虐めを受けてたという共通点があったのだ。2人で怯えていた。ソプラノになった私達に対して「声が小さい」と、ケチをつけるソプラノのリーダーになったY子が言う。私達は、声が小さいのではなく、声が大きく出来なかったのです。「でしゃばるな」って言われたし。
 
 セミナーハウスで練習が行われた日。Y子がピリピリしていた。担任の先生や、音楽の先生に「ソプラノが声小さい」と注意されたからだ。私は、風邪をひいていた。だから、声を大きくすれば、するほど喉に負担がかかり、咳き込む状況。Oちゃんは、大きな声を出していた。歌声がキレイだから、澄んだ声だったって覚えてる。パート練習してた時に、私は気付いた。同じソプラノのFちゃん。私達より歌声が小さいって。でも、Fちゃんは、Y子達と仲良くしてる子だった。すると・・・
Y子『ちょっと!愛ちゃんに、Oちゃん。もっと大きな声で歌ってよ。』
「歌ってるよぉ・・・ゴホッ、ゴホッ・・・。」
O『大丈夫?愛ちゃん。Y子。私達は、ちゃんと歌ってるよ。』
Y子『全然聞こえないんだけど?』
「私は・・・風邪ひいてるから・・・」
O『でも歌ってるって!』
Y子『とにかく、もっと声を出して!』
私・O「・・・・・・。」
 何も言えなかった。なんで、ここまで集中攻撃するんだろって思った。私達だけじゃない。原因は・・・。すると、その次の瞬間、私達は背筋が凍った。
Y子『わかんないヤツらには・・・』
 Y子が手を挙げたのだ。私は、すぐに悟った。「叩かれる!」って。

「コ・ワ・イ!!」

 はぁ・・・ついに私の初恋話になります。。

 それは中学生になってからの事です。クラスは、結構いいムードのある1年2組になり、担任の先生も初めて男の先生だったんだ。

 私は臆病だったのかも・・・
特定の友達とは仲良くしないで、近くにいる友達と話す機会が多かった。なんか特定の友達を作ったら小学生の時みたくなりそうって思ったのかみしれない。

 で・・・初恋の相手というのは・・・出席番号順の席で私の右斜め後ろの男のコ。Yくん。最初、好きとか全然思ってなかったんだけど、話したりするうちに安心を覚えたんだ。でも、私の後ろの席のY子(故にYくんの隣りの子)も好きらしいって気付いたんだ。だから、Yくんだけに話しかけると、よく、あとでいぢめられたよ(苦笑)。
 だから、私の席の隣りのSくんに協力(?)してもらって3人で話す機会が多かったら・・・
 Y子ってば、Yくんに
「愛ちゃんとSってイイ雰囲気だよねぇ」
なんて言ってたんだ。

 私には全然そんな気なかったから、誤解されたってショックだった。でも好きって思えば、どうにか頑張ろうって、それだけが支えになってた。

 でも、中1の1学期の終業式くらいに私の体に異変が起きていた。お腹が痛くって、痛くって仕方なかったんだ。終業式も、まともに出られた記憶ないんだけどね。
 病院へ行くと・・・「十二指腸炎」つまり「盲腸」だって言われたんだ。もうすぐ臨海学校があるって言うのに・・・万が一の場合は諦めなきゃいけないって宣告されたんだ。

 結局は海に入らなければ行っていいと言われ、泳げるようになりたいって思って参加希望した臨海学校も悲しい思い出になってしまった。

 そして2学期くらいから、学校の人が私を注目しはじめていた。それまで悪さをしていた当時、同じ学校の中3だった兄が、最近大人しくなったと噂がたち、その原因が妹にあるんじゃないかって、よく疑われた。

 そんな感じの日々、何もできない自分に苛立ってた。好きなのに、好きなのにY子みたく積極的になりたいって思っても無理だぁって思って悩んでばかりだった。

 12月くらいの出来事だった。班変えで同じ班になれて、Yくんが班長になったんだけど・・・
「お前、副班長やってくんねぇ?」
と、頼まれたんだ。他の女子だと頼りないからだと言っていた。お調子者のK子と、Yくんの事嫌ってたMちゃんだったんだけどね。。

 同じ班になって、放課後掃除も同じ場所だって思うと嬉しくって仕方なかった。玄関掃除の週に起きたんだけど。。寒さで唇が切れた私。それに気付かないで掃除してた。すると・・・Mちゃんが気付いて、
「唇、切れてるよ?」
 手鏡を貸してもらってみると、バックリ切れてた。でも掃除も大事だと思うと・・・
「大丈夫か?」
 って、Yくんに顔を覗きこまれたんだ!
超アップで見る顔にドキドッキ・・・。身長がその時で15?くらい離れてたんだけど・・・やっぱ男の子だなって思った瞬間だった。
 血が止まり、鏡を見ながら薬用リップを塗って・・・その鏡の向こうにいるYくんを見つめていた。ハチミツのにおいのする薬用リップ。とても甘酸っぱい記憶。

 帰る方向も同じだったから、時々だけど同じクラスの友達も引き連れて、一緒に帰った。

 そんなYくんは私の初恋。
カッコイイってワケじゃなかったんだけど、優しい人だったって思い出の1ページにいる人である。

 それから中2になる。クラスは別々になってしまう。だけど、私には、また新しい経験が待っていた。
 小学5年生になった私は、何かを変えたかったのは事実だった。でも、何すればいいのかなんて分からないし、ただ普通にしてるつもりだった。

 だけど、とあるキッカケで私は代表委員になってしまう。(決まらなくって、じゃんけん負け)だけどイヤイヤ任されたけど、自分の出来ることは、しっかりしようと思った。だって、クラスの代表なワケだし、でも、それが返ってクラスの皆からは、生意気に見えたのかもしれない。

 それに気付かず、与えられた仕事をこなし、一生懸命だった。そんなある時に・・・友達のSちゃんと学校終わった後に遊ぶ約束をしてたのに、迎えに行くって言ってくれたのに来なかった。家に電話したら、とっくに出掛けたって言うのに・・・。それで翌朝、Sちゃんに
「おはよう! 昨日どうしたの?」
って声を掛けたら・・・無視をされたのだ。聞こえなかっただけかもしれない。って思ってたのに・・・掃除の時間になって、その週は私達の班は南階段掃除だった。1階から屋上までの各階段を掃除するって言うものだった。同じ班のFさんが、
『私達、屋上からやってくから、あなたは1階から、やってて?』
「うん、いいけど・・・。」
 だけど、3階まで上がって掃除してもFさん達の姿がなかった。どうしてだろう・・・?他の皆もいない・・・。そして掃除の時間が終了してしまった。
 その放課後、Fさん達に・・・
「今日、どこまで掃除してた?私、3階までやったのに会わなかったから・・・心配になって。」
『屋上、汚くって時間かかっちゃったの。ごめんね〜。』
と、言っていた。まぁ、それなら仕方ないよねって思ったケド・・・次の日も、また次の日もそうだった。

 その南階段は、よく職員が使う場所でもあった為、ある先生が私しか掃除してないのを見て担任のM先生に声を掛けたらしく・・・その週の木曜日、掃除中の私のトコへ、やって来た。
『○○さん、他のみんなは?』
「屋上で掃除してるはずですよ。」
『他のみんなって・・・7人で屋上の掃除?おかしいわよ。ちょっと来なさい。』
と、言われ腕を捕まれたまま、屋上へ先生と行くと・・・他のみんなは、屋上で遊んでいたのだった。呆然とした。
『皆さん、何やってるのですか? ○○さんは毎日、1階から3階まで一人で掃除してたのよ?』
 先生は怒っていた。私はビックリしていた。だって、その中にSちゃんもいたから・・・。そこで何かが違うってことに気づいた。

 同じ週の金曜日。先生は掃除個所を割り振った。私は1階から2階へ向けての掃除のみとなった。掃き掃除は違う人がやって、雑巾での拭き掃除は私がやってると・・・手摺の間の上からゴミを落とされて、私にかかったのだ。手摺の上を見上げると、Sちゃん、Mちゃん、Fさんが睨んでた。
 疲れたなと・・・放課後、委員会の仕事を終えて下駄箱に来ると、私の靴がなかった。なんで?靴のあるべき場所に手紙で怪文書。
「お前なんか学校に来るんじゃね〜!死ね!」

 それから私は恐怖のどん底へ落ちてゆく人生に陥る。学校へ行っても誰も話してくれない。話しかけようとしても、みんな逃げてく。追い討ちをかけるように「○○菌」呼ばわりされ・・・挙句の果てに色んなモノを盗られたり、ランドセルを傷つけられたりした。

 そのまま6年生になっても変わらなかった。幼なじみのTくんは家の事情で大阪に行ってしまい、ホントに一人きりになってしまった。
メガネをかけてる私にドッジボールで顔面目掛けて投げたヤツ(顔面だとアウトじゃないからって理由で・・・何度も何度も)、クラスの女子全員、私の存在を忘れ、給食も、ペア作りも、全て私を忘れていた。わざと・・・。

 思い出すだけで恐怖が蘇っていく。
「死にたい、このまま死んだほうがマシ」
と思うようになった。学校の外廊下のフェンス越しから下のアスファルトを見下ろし、落ちたいって気持ちや・・・図工の時間、小刀を使ってた時に、ふいに自分の頚動脈を見つめてしまう気持ちや・・・。何をするのにも死を見ていた。泣いても泣いても変わらないまま・・・ついに親話す。
「私・・・もう学校行きたくない」

 家族6人で夕飯を食べていた時の事だった。母がデザートとして、リンゴの皮むきをしてたのだ。その果物ナイフの光に反応して涙が出てきたのだった。全て話した。何、されてるのか、誰にされてるのか。現に、その虐めが原因で今も消えない傷跡があるくらいだから・・・。父も母もおじいちゃんもお兄ちゃんも弟もビックリしていた。

 その夜、おじいちゃんが・・・
『愛ちゃん、今日おじいちゃんトコ来なさい』
と、言ったのだ。何でだろうって思いながら、おじいちゃんの部屋に行くと、
『一人で眠るのは苦しいだろう? おじいちゃんトコでお眠り。』
「お・・・おじいちゃあん!!」
さっきも泣いたのに、また涙が溢れていた。苦しくって、耐えていた自分が・・・やっと家族だけでも分かってくれたって気持ちになって・・・。
 そして、おじいちゃんが語った。おじいちゃんも私と同じ頃、学校で虐めに遭ったと言うのだ。しかも、辛い想い出や、色んな事を昔話のように私に聞き聞かせてくれた。

 それから、母が先生に言いに行ってくれた。その日は私は学校を休まされたけど・・・。でも、先生は、学校全体での問題にされたくないらしく、言い訳をしていたそうだ。
 でも、いくら何でも、いつまでもずっと登校拒否はいけないと思って・・・学校へ無理して行く日もあった。

『中学に行けば、他の友達が出来るから・・・我慢しなさい』
と、祖父の言葉を受け、頑張っていた矢先、その祖父が他界した・・・。卒業式まで、あと1ヶ月とちょっとって言うトコだったのに・・・。私は、全身の力が消えた気がした。おじいちゃんが支えてくれたから、頑張っていけたのに・・・ってお通夜も、告別式の時も涙が止まらなかった。火葬された祖父の姿を見て・・・信じたくない気持ちでイッパイだった。何よりも誰よりも大好きだった祖父の死が信じられなかった。。

 祖父の死から4日後の2月6日。学校で1.5kmの持久走大会があった。私は最初出たくなかった。だって、まだ体が本調子じゃないのに、でも・・・祖父の為にも出ることを決意した。
ピストルの音が鳴り響き、6年生の女子が一同に走り始めた。私は、後ろの方にいた。走りながら色んな思いが蘇って行った。。今、私は何で生きてるんだろう・・・?そればかり・・・。何度も辛い部分も乗り越えて・・・一番じゃないけど・・・37人中33番でゴールをした。ゴールに着いた途端、涙が出てきた。急いで、水道場所へ行く。
顔を洗いながら・・・
「私・・・頑張れるんだ。生きてるんだ。おじいちゃんの為にも死んだりなんかしちゃ、いけないんだ」と、分かったのだ。

 それから卒業式まで、虐めは変わらなかったけど、無事に卒業を果たした。
 小3になって担任の先生が変わった。S先生。最初会った時、不思議だった。デジャヴを感じたからだ。この先生とは初めて会った感じがしないって。

 それから親の勧めで幼馴染っぽくなったT君と剣道を習うことになる。親の目的は病気がちな私を健康にさせる為と声を大きく出せるようにする為。

 毎週日曜日、いつもと同じように起きて、いつもと同じ道を胴衣を着て、出かけていった。

 そんな私の様子を見ていたS先生が、ある時、私に言った。
『愛ちゃんは、将来、何になりたいの?』
将来・・・そんなものまで前の私には見えていなかった。でも、確実になりたいものは決まっていた。
「先生、私・・・保母さんになりたいの。」
『保母さん? 愛ちゃんらしいわねぇ。頑張ってネ。』
そんな会話を、よくしてくれた。

 ある時、気付いた。S先生は、私の叔母に似ているのだって。だから不信感とか沸かなかったんだなって思う。

 そんなこんなで4年生になった頃・・・その叔母が私を連れて、ある場所にいった。何も知らされてない私は呆然。

 着いた場所は「琴教室」だった。
先生らしい人が一人いて、お弟子さんらしい人がお琴を弾いてる。初めて間近で見るお琴。
『初めまして。』
「は・・・初めまして。」
そう先生が私に言った。
『ちょっと、こっちに来てみなさい。』
「え??」
『大丈夫よ。』
すると、何故かお琴の爪を合わせられた。そしてお琴の弾き方を習う。
『初見なのに、これだけ出来るのはすごいわよ。ねぇ、お琴習ってみない?』
 そう、これが私の音楽に携わるキッカケとなった事件だった。

 それからお琴は中学2年生まで習い続ける。何度も挫折を経験しながら・・・。

 そしてお琴の練習が厳しくなって剣道は、辞めざるをえなくなった。

 それから・・・ココで激白。
 小4の時に友達のSちゃんがA君を好きだった。私はSちゃんに協力していた身だったんだけど、いつしか私がA君を好きだって噂が立っちゃって・・・すごい恥ずかしい思いをした。Sちゃんに付き合ってバレンタインとか・・・色々・・・。
 でも結局A君は、私でもなく、Sちゃんでもない女のコが好きだったらしい。お陰で私は色んな人にA君とのことをからかわれた。
 人の恋路は邪魔しないようにしよう・・・。

 そして、小5.忘れもしない、私の悪夢の2年間。それは、また今度。
 小学生にあがると、世界が全く違った。

まず、通学に30分近くかかった(小学校、低学年のころ)。それが、1番辛かったわけじゃない。

 小学1,2年の時の担任O先生は・・・エコヒイキをする先生だった。いくら頭が良くても、元気のない子は成績を下げていた。逆に頭が悪くても元気のある子には成績を上げていた。
 私は、先方に属するタイプだったのだ。テストで100点を取って褒められたことが無かった。元気がないから・・・声が小さいから・・・。ますます自分ってものも分からないまま・・・。幼稚園の時の友達Tくんも同じクラスだった。
 彼は元気があったけど、うるさいとか・・・忘れ物が多いとかで、先生は差別していた。
 
 2年生の時、学芸会があった。劇は「ブレーメンの音楽隊」。その舞台は特殊で半分以上の生徒はナレーターで、ほんの一部の生徒が役者になれた。
 そして役者を選ぶ時、全て立候補で応募を受け付けて、そしてオーディションをして役者を決めることになっていた。
 私はナレーターよりも役者になりたかった。目立ちたかったのかもしれないケド・・・それで、先生に言いに行った時・・・
「先生・・・私、ネコ役に立候補したいんです。オーディション参加者にいれてください。」
『貴方はダメよ!』
「え・・・?」
『貴方みたいな子がネコ役できるわけないでしょ?よくも、まぁ立候補する気になったわねぇ〜。世の中ってモン甘く見すぎよ。』
と、言われたのだ。
 小2の私には、その意味がわからなくって・・・オーディションの日。放課後、会場(体育館)に行くと・・・他の先生に止められた。
『待って。キミは登録されてないよ。』
「え? そんなはずないです。ちゃんとO先生に言いましたよ。」
『でも名前が無いよ?困ったなぁ〜・・・』
「そ・・・そんな・・・。」
『あ、ちょっとO先生。先生のクラスの子で登録されてない子が来てるんですけど?』
O『あらあら・・・何やってるの?早く帰りなさい。』
「せ・・・先生!やめて!!」
 先生に無理矢理手を引っ張られて、体育館の外へ出された。秋の終わりのころだったから、すごい寒くって・・・。
『ちゃんと、まっすぐ帰りなさい!!』
 その時の先生の目が怖かった。なんで・・・って思う気持ちで仕方なく家に帰った私。

 結局ナレーターになり、先生への不信感とともに学校が大嫌いになった。

 でも、そのナレーターの衣装関連で祖父にネクタイの結び方を習う。それが、何年か後にスゴイことになるとは思ってもみなかった。

 そして・・・小3になって、クラス変えとともに先生も変わった。

S先生・・・。私に多大な影響をくれた先生。この先生のエピソードは、また次に。
 幼稚園にあがるころ・・・私には不安があった。今でも、その不安が思い出せる。それは・・・
「同い年の子と話すこと」
だった。近所にも同い年の子は、いなくて・・・上か下か・・・どっちかで・・・幼稚園が怖く思えた。
 
 そして、進幼稚園に入園した。
やっぱり入園式の時、怖かった。しかも・・・天然パーマな私は・・・すごい目立った。余計にイヤだった。みんなキレイな髪・・・。すごい羨ましくて・・・何も誰とも話せずにいた。

 でも、じきに2人の子が私に話しかけてくれるようになった。私も少し少し話すようになった。
だけど・・・私のコンプレックスができた。
耳が小さい・・・髪がくるくる・・・。クラスのリーダーのような男の子に、いつもいじめられ泣いてばかりいた・・・。
 幼稚園が嫌いになった。。

 そして、年長ににあがり、1つの出逢いをする。Tくんである。Tくんはウチの近所に引っ越してきた転入生だった。母親同士も仲良くなって、家族ぐるみの付き合いをするようになった。いつも、どっちかの家に遊びに行き、暗くなるまで遊んだ。同じように幼稚園の友達とも出来るようになっていった。

 そして・・・私は自分が誰なのか理解しようと思った。みんな、それぞれに個性があって、でも私には個性がないような気がした。
 だから、ある思い切った行動をした。
それはお遊戯会だった。役を決める時に、私は女の子じゃなく男の子の役をやる事にしたのだ。先生にも・・・
『愛ちゃん、それでいいの?』
と、言われたけど・・・女の子っていうモノから飛び出したかったんだ。

 そして分かったんだ。これが私なのだということ。決められたものを、そのとうりにしないっていう快感(?)が・・・自我に芽生え出した。

 そんな、こんなで卒園した。

 卒園式後・・・ウチにある子が遊びにきた。それは私をいじめていたKくん。しかも、このKくんは結構クラスの女の子から人気があるカッコイイ男の子だった。でも私は、まだ自分の事も好きになれてなかったから・・・カッコイイとも思わなかった気がするけど・・・とにかくKくんがママと一緒にウチに来たんだ。
 Kくんのママに・・・
『愛ちゃん。今までウチのKがいじめててゴメンね。許してあげてね。』
 許すも何も・・・小学校は違うから別に気にしていなかった。
『あのね・・・あのね・・・』
と、Kくんが言った
『俺ね・・・愛ちゃんが好き!』
えぇぇ!!?と・・・突然の告白された。私の人生
初めての告白を受けた瞬間でした。

 あとからママさんからの話では・・・私の事を好きなあまりにKくんは、いじめていたらしい・・・。でも、私は・・・なんて答えたのかな?覚えてません。

 まぁ、それから何年後かにKくんと遊んだことがあった。でも・・・何して遊んだとか覚えてないんだよね。。(苦笑)
 私は、1981年8月26日の水曜日のお昼前に、この世に生まれてきました。身長51?、体重3220gという普通の赤ちゃんだったらしい。

 ウチには、2歳上に兄、2歳下に弟という3人兄弟の中の真ん中だった。しかも紅一点という・・・。

 私は小さい頃、人見知りが激しかった。人と目を合わせて話せない・・・。母がよく私を連れて歩いてると・・・ご近所さんや知り合いに会うたびに母の後ろに隠れてしまっていた。しかも、無愛想だった。笑えない・・・そんな女のコだった。自分でも何故だか分からなかったけど・・・怖かったんだと思う。

 でも、そんな私を少し変える事件が起きた。私は小さい頃から歌うのが大好きだった。お菓子のオマケのマイクを持って、よく歌っていたのだ。
 そんなある時、家族で歩いて1時間くらいかかる大きな公園に散歩に行った時の事でした。私は、そのオマケのマイクを持っていた。それで、お母さんが・・・その公園にある野外ステージみたいな場所に私を連れて行って・・・
「歌って。」
と、言ったのだ。突然でビックリしたけど、目の前には家族しか、いないからと思って・・・何を歌ったのか覚えてないんだけど3曲くらい歌って、前を見ると・・・なんと人だかりが出来ていた!! もう恥ずかしくなって・・・お母さんのトコに駆け寄った記憶があります。

 それを機に、私は少しずつ、少しずつ人と触れ合う事を覚えていきました。最初のうちは恥ずかしさから声が小さかったかもしれないけど、でも頑張っていた。

 そして私のおじいちゃんが私に色んな事を教えてくれたのです。友達の大切さ、自分の優しさ・・・。そして、私は幼稚園にあがる年になるのでした。
 「R.I.P」…Rest in Place。よく洋画などで墓地のシーンに、お墓に刻まれている言葉である。「安らかに眠りたまえ」が訳である。何故、自分の事を書くのに安らかに眠らせるのかと言うと…今までの事を思い出しても、想い出は想い出。今は今。そう思いたいからである。だから想い出に花を手向ける意味で「R.I.P」と題名をつけた。

 これから不定期で自分の事を書いていこうと思う。私の生い立ちから…今の自分まで人に伝えたい思いが強かった。だから、この場を借りて書いていこうと思う。全て真実を。

 さぁ目を閉じて、心開いて…。

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